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***堕散る(おちる)***
第27章 step27 二十一段目…初夏
「お母さん…」

母が目に涙を溜めていた。

父を毛嫌いしていた母を幼い記憶で覚えている。
父は優しい人だったけど、両親が仲良くしている姿は記憶にない。

父がいなくなって、父の悪口を言う母を見て、父は悪い人だったんだと思い、母を可哀想に思って育った。

母を安心させるにはどうしたらいいんだろうか…

「お母さん、これからはハルトのこと隠したりしない。きちんと勉強も頑張る…

ワタシにはハルトが必要で、ハルトもワタシが必要だって…

もっとハルトのことわかって欲しいから…

ハルトとずっと一緒に居たいの…
わかって…」

「わかるわよ。
でも何も見えなくなってしまってることもね。
反対もしないわ。
余計に燃え上がるから…

でも、少しでも変だと思うことがあったら、何でも言ってね。」

「うん…」

ワタシはハルトとの交際を否定されなかったことに安心して、あまり母の話を聞いていなかったのだ。

そして、その後も踊り場のない螺旋階段を転げ落ちていった。

表面的にはハルトも人間らしく優しくなって、母との約束通り、大事にしてもらっていた…

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