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***堕散る(おちる)***
第28章 step28 二十二段目…夏休み…入社試験
楽しい時間はあっという間だ。
ハルトがそのまま送ってくれるという。
ワタシはまたいつものように眠ってしまっていた。
「ルリ、起きて…もうすぐ着くよ。」
ハルトに起こされる。
いつも降りる公園を過ぎていた。
「ハルト、もうここで…」
「もうお母さんにも知られてるし、家まで送る。」
そう言ってハルトは家に向かう。
家の前に車が止まっていた。
ハルトが少し離れたところに車を停める。
「ここで降りますね。」
「ルリんち、お客さんくるの?」
「いえ、聞いてませんけど、」
「じゃあこのまま待ってろ。車が出たら家の前につけるから…
何かあったら困るから。」
ハルトに止められて車に留まった。
助手席から人が降りる。
母だ。
何だか見てはいけないものを見ている気になってドキドキする。
ハルトは黙ってワタシの手に手を重ねていた。
運転席からも人が降りる。母と同じくらいの年代の男性だった。
車の前に二人が回り、男性が母を抱き締めているようだった。
セダンの向こう側だからよく見えないけど、
男性の胸を押して母が離れる。
そして、小走りで門扉のところに母が行く。