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***堕散る(おちる)***
第28章 step28 二十二段目…夏休み…入社試験
「その後も付きまといがひどくて風呂に一緒に入った。」
「鶏ってお風呂入れるんですか?」
「知らないけど、ぴよちゃんは一緒にシャワーを浴びて、湯船も入りたがるから入れたら、泳いでたよ。」
水鳥でなくても泳げるんだ。ハルトの溺愛にも、ぴよちゃんの行動にも驚いた。
「珈琲淹れますね。」
「ああ…」
コオッ…
「ぴよちゃんは飲めないでしょ?」
コオッ…コオッ…
「そうだ。ルリ、豆を一つ持ってきてよ。」
言われるままに珈琲豆をハルトに渡すと、ハルトがそれを長机に置く。
ぴよちゃんが机に飛び乗って、豆を突っついている。
弾き飛ぶのを追いかけ、また突っついて…と、机の上で豆で遊び始めた。
コポッ…コポッ…
ハルトの好きな音が広がる。ハルトはまだお腹の中に、何も始まっていない時間に戻りたいのだろうか…
ふと思ったけど聞けずにいた。
「珈琲入りましたよ。」
「ん、サンキュ…」
ハルトがモニターを見るのをやめて長机に向かって座る。
ワタシは正面になる椅子に腰掛けた。
「お母さん、どうだった?」
「会社の男の人に遅くなったから送ってもらっただけだって…」