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***堕散る(おちる)***
第29章 step29 二十三段目…再びの秋…実りのとき

お酒を飲める大人達は、気が緩んでいいのかもしれないけど、
ワタシには、レストランでも、居酒屋でも、きっと家でも変わらない。

今まで母とワタシ、女だけだった家族に男の人が関わってくる。
父の記憶すら曖昧になり始めているこの年になって…

そう思う反面、母には幸せになって欲しいという気持ちもあって、
彼氏さんがどんな人なのか、見極めなきゃとも思う。

「ルリ、ここだよ。ついたよ。」

ハルトに手を引かれて、考え事をしているうちに店に着いてしまった。

足がすくんでしまったのを、ハルトが肩に手を回して、さりげなくエスコートしてくれて、エレベーターに乗り込んだ。

チュッ…

えっ…?

エレベーター内は2人きりだけど、ハルトがワタシの頭に軽くキスしてきた。

驚いて顔を上げたところに、

チュッ…

唇にも軽く唇を触れさせ、わざと音を立てて離れていく。

えっ…

「さあついたよ。」

ハルトが受付して案内されていく。

さっきのキスは、おまじない?緊張を解すため?

靴を脱いでハルトに手を引かれて、奥の座敷に連れて行かれた。


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