この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第29章 step29 二十三段目…再びの秋…実りのとき
お酒を飲める大人達は、気が緩んでいいのかもしれないけど、
ワタシには、レストランでも、居酒屋でも、きっと家でも変わらない。
今まで母とワタシ、女だけだった家族に男の人が関わってくる。
父の記憶すら曖昧になり始めているこの年になって…
そう思う反面、母には幸せになって欲しいという気持ちもあって、
彼氏さんがどんな人なのか、見極めなきゃとも思う。
「ルリ、ここだよ。ついたよ。」
ハルトに手を引かれて、考え事をしているうちに店に着いてしまった。
足がすくんでしまったのを、ハルトが肩に手を回して、さりげなくエスコートしてくれて、エレベーターに乗り込んだ。
チュッ…
えっ…?
エレベーター内は2人きりだけど、ハルトがワタシの頭に軽くキスしてきた。
驚いて顔を上げたところに、
チュッ…
唇にも軽く唇を触れさせ、わざと音を立てて離れていく。
えっ…
「さあついたよ。」
ハルトが受付して案内されていく。
さっきのキスは、おまじない?緊張を解すため?
靴を脱いでハルトに手を引かれて、奥の座敷に連れて行かれた。