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***堕散る(おちる)***
第29章 step29 二十三段目…再びの秋…実りのとき
「おっ、いらっしゃい。」
「ハルトさんお久しぶりです。」
「こんばんは、お母さん、初めまして…」
「こ、こんばんは…」
「初めまして…ルリちゃん。あ、お嬢さんに『ちゃん』付けはないか、いや、お母さんといつもそう呼んでいるからつい…」
「ルリ、いいよな。『ちゃん』付けでも、」
「え…あ、はい。」
グッと緊張してうまく答えられないところをハルトが間に入ってくれた。
「俺たちもあなたのこと『彼氏さん』て呼んでいるからそれでいい?」
「あは、カレシさんね。僕が、今風にカレシと呼ばれるとは」
彼氏さんがイントネーションを変えて笑っていた。
母から、メニューを渡される。
彼氏さんの前に、ハルトが、母の前に、ワタシが座る。
ハルトの顔を見れば、彼氏さんが視界に入る。
優しそうで気さくなおじさんだ。
「ルリの飲めるのはこの辺だから。」
ハルトがメニューを指して教えてくれる。
ハルトと一緒にいると自然に振る舞えた。
ピンポーン…
ハルトが店員を呼ぶ。
全然物怖じしないハルトが羨ましかった。
すぐに店員さんが来る。
「皆さんビールでいいですか?」
「ええ、」
「はい。」