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***堕散る(おちる)***
第29章 step29 二十三段目…再びの秋…実りのとき
女が誘っているのがわかる。いや、こうやって客を誘うように教えたのは俺だ。
宝石店で売上を競う女の闘いに疲れた女を引き抜いて、俺のオンナにし、自らを宝石のように耀かせて売るこの仕事に就かせたのだ。
女の魅力が落ちたわけではない。俺がその魅力に興味を示さなくなっただけだ。
女には、こうやって男に隙を見せ、無防備に背中を晒し、抱き着かせて乳房を触ることを誘発させるよう教えた。
女は教えた通りのことをして、俺を誘って試しているだけだ。
何を試している?
ああ、俺がいつからその誘いに乗らなくなったか…だろう。
ルリを捕まえた一年前、ふらりと店に寄ってどんちゃん騒ぎをしたあの日からだ。
あれからも、定期的に店の視察には来ていたが、軽く飲んで、仕事の話をして帰るだけ。
隠れオーナーである、このオンナには、売上を伸ばすコツと店の女たちを教育する方法を話してきた。
ルリと会うまでは、寄り付く女たちを好きにして、遊びながら欲を放ってきたが、あの騒ぎ以降一切触れない。
女達は、俺が不能になったのではと懸念しているとオンナが教えてくれた。