この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第29章 step29 二十三段目…再びの秋…実りのとき
玄関まで香るカレーの匂いに思わず腹がなる。
ぴよちゃんも呼ばれて返事をした。
ゲージから出して、足元に新聞を敷かれてキャベツをもらいコッ…コッ…と喜びながら啄み始めた。
「じゃあ「乾杯〜」」
母はビールが飲めることが嬉しかったのかもしれない。
「すみませんです。遅くなったうえにご馳走になってしまい。」
「何かあったのかしら?」
「いえ、睡眠不足で昼寝して寝過ごしてしまって…」
「あはは…ハルトさんでもそんなことがあるのね。」
「お恥ずかしい。」
「それとね。就職のことは、もう決めてもいいと思うの、ただルリは学校の勉強は今まで通り頑張ってね。」
「はい、ありがとうお母さん。」
「許可するまでが親の務め、そこからは自分で選んで、選んだ責任を取らなきゃいけないことを学んでね。」
「はい、わかりました。」
コォッ…コォッ…
「あら、ぴよちゃんまで返事して…
それとね。就職して研修後も、たまにはこうやって食事でもしましょう。」
「はい。」
母からお許しが出てホッとした。
母は、どうせなら泊まっていくよう勧めたけど、ハルトはさすがにそれはと断って帰っていった。