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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
「フェロモン。」

「はい?」

「オス豚が発情した時に発するフェロモンの香りに似てるらしいよ。」

「それでメスだけ反応するんですね。」

王様がトリュフをフォークに山盛りにしてワタシの鼻先に持ってきた。

「どう?発情する?」

「しません。でも、高級な香りと呼ばれてるわけですよね。」

「そういうことになるな。」

「ふふっ、そう思うと可笑しいですね。」

「肥大肝と豚のフェロモンが三大珍味か…」

「でも美味しいものは美味しいです。」

「そうだな。それが大事だ。」

王様はいつも1人で食事していたのだ。
こんな風に会話することもなく。
料理の説明は執事たちがするかもしれないけど、それではきっと味気なく寂しいものだ。

ワタシもハルトも1人での食事が多かったから、その寂しさがわかる。
そして、一緒に作って一緒に食べる楽しさを覚えたのだ。

メインの肉料理を食べ終えて、次のドームを出す。
デザートもフルーツにケーキ、紅茶に珈琲と盛りだくさんだった。

「お料理は、メイドさんたちが作るのですか?」

「いや、シェフがいる。」

「ケーキも?」

「パティシエが毎回作る。」

「凄いですね。」

凄く贅沢だと思った。
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