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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
「必要ない。片付けるのを仕事にしている者がいる。」
「でも、ワゴンに乗せるくらいは…」
「人の仕事を奪うのか?」
「いいえ…」
「なら、いくぞ。」
王様に連れられて廊下に出た。
玄関に向かうと思ったら、反対の方に進む。
もう1つ、ガラス張りのスライドドアの玄関があった。
そこの石畳もピカピカで王様は裸足のまま石畳に降りる。
私もそこに降りる。ガラス扉を開けても履くものがない。王様は普通に裸足で庭に出た。
「あの、靴も履かないんですか?」
「ああ、あれこそ面倒だ。一々屈んだり片足ずつ履いて…
別に靴は必要ない。代わりに庭を掃除させて、怪我するようなものは落ちてないようにしてあるから。」
「すみませんでした。」
「謝る必要もない。いくぞ。」
必要かどうか、王様の全ての基準がそこにあるようだ。
芝生を裸足で歩く。ふかふかでくすぐったい。
「足の裏がくすぐったくないですか?」
「普段靴下など履いているから感覚が弱くなるのだ。
まだ芝の新芽が出る時ではないぞ?
新芽が出ると、それこそムズムズするからな。」
季節を足裏で感じる不思議な王様なのだ。