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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
「今はこぶしの花くらいしか咲いてないな。」
庭は本当に手入れされていて、葉っぱ1つ落ちていない。
何人かが菷で掃いたり剪定していた。
「桜の木はありますか?」
「残念だがないな。母の趣味でイングリッシュガーデンを目指しているらしい。だから薔薇なら沢山あるぞ。」
「あ、あの…裸で寒くないですか?」
「鍛えているからな、雪や木枯らしの吹くときでも外に出るぞ?」
王様は逞しいようだ。
広いお庭でもみの木の森がある。
「これ、もみの木ですよね。」
「そうだ。俺が小さいころ、自分の庭のもみの木を切ってツリーが作りたいと言ったらしくてな、
もうどうでもいいんだが、死ぬまで足りそうなほど育てられている。」
王様は両親に愛されて育ったようだ。
ガサガサッ…
ひぃ…
近くの枝が揺れて何か動物がいるようだ。
「こら、客人を驚かすな。降りて挨拶しろ。木の上から見下ろすのは失礼だろう。」
ガサガサッ…
「すみません。お客様が庭に来ていらっしゃるのに気づかなくて。」
枝から降りてきたのは腰の曲がった老人だった。