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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
「5月までここにいれば咲き誇る薔薇を見せられるのにな。」
王様が残念そうに言った。
でも、契約は長くても3週間、4月の初旬までだ。
その約束は出来ない。早くハルトの元に帰りたいのは変わらない。
ブゥルルルルルッ
「え…馬が…」
「そうだよ。乗馬しようか。」
「乗れるんですか?」
なんと庭に馬がいて乗馬場がある。
「父の趣味でね。海外の貴族なら常識のたしなみだと。」
白い馬と茶色の馬が繋がれていた。
「どっちに乗りたい?」
「白い馬に乗ってみたいです。」
馬なんて見たことがなかった。しかも白い馬なんて珍しく思った。
王様が鞍をつけて誘導して乗せてくれる。
そして王様がワタシの後ろに跨がり手綱を握る。
王様の腕に囲まれるようになり、今になって恥ずかしくなってきた。
それに馬の背中は思ったより高く、見晴らしはいいのだけど、動き出すと少し怖かった。
「スノー、ゆっくりな。」
ブゥルルルルルッ…
馬は王様の言葉がわかるようで嘶いて返事をする。
そして、言葉通りゆっくりと進み始めた。
「この馬、スノーっていうんですね。」