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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事

どうやって馬の気持ちがわかるのか謎だけど王様にはわかるらしい。
そしてチョコレートはどんどんスピードを上げていった。
揺れる馬の背中で自分の重心を保つのは意外に難しい。ワタシはすぐに王様に寄り掛かる。
王様がギュッと力を込めてワタシを支えた。
「俺とチョコレートを信用して、怖がらずに目を開けていて、
そうしたら風になれるから…」
ドウッ…
ピシッ…
王様がチョコレートのお腹を蹴り、手綱で合図するとチョコレートはもっと早く、歩くのではなく駈け始めた。
気持ちいい視界、心地よい蹄が大地を蹴る音、
チョコレートの駈け抜ける速さに風を受ける。
風を感じた。
「このまま柵を飛んで戻るぞ。」
益々スピードアップして、方向転換して柵に向かう。
チョコレートと王様を信用して風になる。
パカッ…パカッ…パカッーーー
チョコレートの足が地面から離れて無重力になったのを感じた。
高さに怖くなって後ろに寄り掛かると王様がピッタリと上体をつけて抱き締めてくれた。
っ…パカッ…パカッ…パカッ…
風になれた。
「気持ちいい…風になれた。」

