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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
息を吐いてショットを繰り出した。
カコーン…
小気味いい音がして、球が広がる。押し出された1つの球がポケットに入った。
「1つ落とせました。」
王様が笑顔で頷く。
そして王様の番となった。
王様は確実に球を落としていく。
次の球は難しいかった。テーブルの角や他の球が邪魔して、真っ直ぐには狙えないのだ。
「テーブルにお尻を乗せてごらん。」
王様が見本を見せてくれる。台に乗って背中にキューを通して打つらしい。
見よう見真似でしてみたが、上手くいかずに球が少し転がるだけで終わる。
王様はチャンスボールで好きなところから打てるはずだが、敢えてそのままの場所から狙う。
台に乗って背中にキューを通すと反り返った中心が目立っていた。
欲しい…
ワタシはショットも見ずにそこばかり窺っていた。
カコーン…
球がポケットに入る音にハッとして拍手した。
王様が手加減してくれているとは思うけど、何回か番が来て、いくつかの球が落とせた。
「いくつ落とせたかは関係ないんだ。9を落としたものの勝ち、だから、常に9を狙えるチャンスを窺うんだ。」