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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる

ガラス戸から庭に出る。芝のおかげで板張りの床より膝が痛くなかった。

秘部すら丸見えの状態で四つん這いで歩く、男性の従者の前で…

恥ずかしいのに王様は昨日と同じように歩く。
そう言えば王様も裸、裸の男女が、ワタシは犬の格好だけど…
それで普通に外を歩くなんて可笑しすぎる。

男性の方が控えめなのか、むやみに近づく人は居なかった。
それでも持ち場から、こちらを見ようと皆振り向いていた。

「また、鋏を貸してくれ。」

王様が一人の庭師に声を掛け近づいていく。
庭師は驚いたが、近づけばやはりジロジロと舐め回すように見てくる。

ワタシは出来るだけ王様の陰に隠れた。

「どうぞ。」

王様は鋏を受け取り歩き始める。
この人に後ろからもジロジロ見られるとわかっていても、隠すことは出来なかった。

王様が温室に向かう。
昨日よりも沢山のチューリップが綻んでいた。

目線に広がる花々に癒される。犬扱いされる前にしゃがんで見れば良かった。

犬になっての発見に悲しい気分にもなった。

「さて、ユキ…今日はどの花にするか?
俺が代わりに切ってやろう。」

王様は昨日した約束を叶えてくれた。


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