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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる

王様はワタシの意見を聞くつもりはなかったようで、首輪にチェーンがカチリと付けられた。

そして、立ち上がりチェーンを引かれる。

首輪の内側にはファーがついていて、むやみに擦り傷が付かないように配慮されてあったが、
引っ張られると苦しい。
ワタシは仕方なく後をついていった。

誰にも見られたくない。
そう思ったけど、今までなら既に庭に出ている頃で、掃除や他の仕事で廊下に出ているメイドが多かった。

「お散歩ですか?」

「念願のワンちゃんですね。」

普段こんなに話しかけてこないのに、好奇の視線、蔑みの視線を飛ばしながらも王様のご機嫌うかがいをするメイドが何人もいた。

王様は普段と変わらずあっさりと返事してガラス戸に向かう。

『女性の嫉妬は怖いな。』

王様が言うように、王様のお相手を務める女性は多いのに、誰か一人を寵愛することがないから、皆、不満なのだろうか…

今まで客人だったワタシが、その立場にあると勘違いしていた人もいるのかもしれない。
そしてペットに成り下がったのが、自尊心を擽られるのだろう。

とにかく不躾な視線に曝されても隠すことも出来なかった。


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