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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
「犬に『様』は可笑しいだろう。それに手足じゃなく、足が4本だ。」
「申し訳ございません。手足とは私の失言でした。
ただ、旦那様のペットは私より大事な存在ですから、これからもユキ様と呼ばさせていただきます。」
「フン、わかった。構わぬ。」
王様は少し不貞腐れたが許してくれた。
「ああ、茎が傷んでしまうから、チューリップはお預かりしますね。」
そう言って、そのメイドは口端の花茎を持ってくれたので、ワタシは口を開いた。
「可愛らしい明るい黄色ですこと。」
チューリップを床にそっと置いて、ワタシの手と膝下を洗ってくれた。
手足を順々に拭いてもらい、ようやく上がり口に昇る。
「ユキ様のチューリップを活けるのを私にさせていただけませんか?」
その人は、また王様に進言する。
「じゃあ、任せた。」
こうして、その人が部屋までチューリップを持ってくれた。
昨日用意した二つの花瓶を持ったその人と二人で脱衣場にいく。
「どちらの花瓶になさいましょうか。」
ワタシが拳で指し示すと、手を握り頭を撫でて抱き締められる。
「辛抱して堪えてくださいね。」
耳元で小声で励まされた。