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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
「ユキ、臭いぞ。ここからは自分で歩け。」
ドサリと小屋の前でユキを下ろすとすごすごとついてきた。
庭の散水栓のところで止まり、執事たちを呼んでユキを洗う。
とても屋敷には入れられない匂いだった。
ううぅ…ううぅ…
ユキは寒さに震えるが、
小屋に行ってしまったのだから仕方ない。
手足の包帯も外し全て綺麗にして屋敷に入れた。
部屋に入れて休むように言えば、毛布にくるまり震えるユキだが、宇兵衛の後で触れる気にならず放置した。
どっちに転がっても楽しむつもりだったが、自ら宇兵衛に跨がるユキを目にしたら、カッとなって行動していた。
ユキにはこれだけ手間隙かけて世話をしていることが伝わってないのだろうか。
全く関わりのなかった宇兵衛に易々とついていってしまったことがやはりショックだった。
ユキの震えが止まり、寝付いたのを確認して、アイツに電話して、もう1週間の延長を申し出た。
『ルリは元気にしているのか?』
「ああ、元気という基準がよくわからんが、どこも傷は付けていないし、どちらかというと肉付きはよくなったが?」
『そうか。ならいい。』