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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる

「それと、契約期間を2週間から3週間に延期して欲しい。」

『それは調教に手こずっているということか?』

「まあ、それは認めるよ。元々彼女には耐性があるからな、本物になったかどうかの見極めが難しい。
中途半端で終わりにしたくない。
最低でも、あと1週間、場合によっては更に延期も有り得るが構わないか?」

『…ああ…
ルリに代わってもらえるか?』

「今は寝ているし、完成するまで、お前の声も聞かせられない。」

『わかった。頑張れとだけ伝えてくれ。』

「ああ…」

用件だけ済ませて終話する。

ユキは深く眠っていて電話に気付くことはなかった。

ただうつ伏せで寝ているユキの震えが止まらないのに気付き、おでこを触ると熱い。

外に長くいたのと、水で洗ったのが堪(こた)えたのだろう、高熱が出ていた。

抱えてユキのベッドに寝かせ厚い掛け布団を描けてやる。
消化の良い食事と薬を用意させた。

首輪も外したままで治療に専念することにした。

ここに来てからの環境の変化、更なる諸々の課題、無理矢理受け入れていた体が、拒絶反応を起こしたのだろう。

これを乗り越えれば全てが身に付く。
経験則だ。

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