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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
そんなユキを憎らしく思ったが、グッと堪(こら)えて抱き締める。
「お前のそばにいるのは俺だ。右京だ。」
っ…ぅう…うぅ…
「そうだ。犬のお前には発音出来ないから、ウウでいい、これからは俺をウウと呼べ。」
優しく撫でて話しかければ、瞼は開かずうなされたままだが、はっきりと『ウウ』と俺を呼んでしがみついてきた。
そうだ、それでいい。
お前には俺しかいない…
この熱でそれだけを学べばいい。
水を飲ませ、抱き締め、汗を拭き、寝ずの看病をした。
朝に検温すると峠は越えたようで、まだ高い熱だが上がる様子はなかった。
ユキを起こして食事を食べさせ、薬を飲ませて寝かしつける。
自分も食事をとり、ユキを抱き締めて仮眠した。
っ…ウウ…ウウ…
つい深く寝てしまったようでユキに起こされる。
ユキはしっかりと俺をウウと呼んだ。
「どうした?ユキ…
もしかしてシッコか?」
っ…ワン…
「大丈夫だ、連れてってやる。」
ユキを姫抱きにして脱衣場に連れていき、幼児にするように膝裏を抱えてシートに向かわせる。
恥ずかしそうにしていたが、『シーシー』と声かけするとブルリと震えたあとし始めた。