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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日
ルリは顔を赤らめる。
「ルリはご褒美のキスが好きなの?だから俺を喜ばせるの?」
ぅ…ワン…キッ…っき…
「そっか、俺もルリとキスするの好きだよ。」
自分でも絶対に言わないような台詞を口にしていた。
ルリはマグを丸まった手で押さえ、ストローに顔を近づけてお茶を飲んでいった。
そのうち、手に持てるようになるし、コップから普通に飲めるようになるさ。
「ルリ、ご飯おかわりする?」
ワン…
「味噌汁は?」
ワン…
おかずが少なかっただろうか、おかわりをよそった。
ルリは合間に俺が食べる様子を見ていた。
「ごちそうさまでした。」
ワン…
そしてルリの口の周りを拭いてやる。
食後の珈琲を淹れる。
そしてルリには違うものを用意した。
「キンモクセイのお茶だよ。甘い香りがするでしょ?」
マグの蓋をする前に香りを嗅がせ、冷めてから蓋をして渡した。
やはりルリはキンモクセイに反応しない。
気にしないようにと思っても、一々ルリを探ってしまうのだ。
「どう?」
「お…しぃ……っくない…」
「ん?」
「あ…くない…」
「あ、甘くない?そうだよ、香りだけだからな。」
蓋を取ってマグを支えた。