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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日

右京だけの仕業ではない。騙すように研修をして、そのまま右京のところに連れていき、諸々の過酷な仕打ちから、ルリは俺を否定して、俺と出会ってからの記憶を消すことで自分を守ったのではないか。

ルリは卵を持って感動して涙を流していた。
俺はルリが卵を落とさないように、その手を包みつつルリを抱き締めた。

「温かいだろ?産みたて卵。ルリのご飯はこれで卵かけご飯にするよ?
また料理を見る?」

ワン…

ルリの手から卵をもらいテーブルに置く。
そして、ダイニングテーブルの椅子をキッチンに持っていった。

ルリはついてきて、そこに昇る。

「今日はキャベツとじゃがいもの味噌汁、それにまた魚を焼くよ。あとベーコンも焼こう。ぴよちゃんの卵じゃないが、スクランブルエッグにしよう。」

「ワン…はうと…な、てぅ」

「ん?」

「はうと…なぃてぅょ?」

「泣いてる?泣いてないよ。」

ルリが椅子の上で膝立ちになり、俺の肩に手を置いた。
斜めになってて危なっかしい。俺は、ルリに近づいて支えながら抱き締めた。

「はうと…ほぁ…なぃてぅ…」

ルリが俺の頬に触れ、涙を拭う。
ああ、泣いてたんだ…俺…

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