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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日
「見ててごらん。」
ルリの両手を水を掬うような形にさせ、丸まってしまう指先を下から支えた自分の指で押さえる。
コオッ…コオッ…
ぴよちゃんが鳴いた後、静かになり動かなくなる。
それから息むようにしてお尻が揺れる。
お尻の周りが膨らんできて、白いものが見え始める。
アッ…ぴっ…
「ルリ、静かに…」
みるみる白いものが現れていき、ポトリと産み落とされた卵がルリの手のひらに落ちた。
ああっ…ぴっ…ぴっ…
「そうだよ、ぴよちゃんが卵を生んだんだよ。」
ぴっ…えぁいね…
ルリは卵を持ったまま、ぴよちゃんの背に頬擦りをした。
コオッ…コオッ…
ぴよちゃんもルリの方を振り向き、ルリの頬に体を擦り付けた。
ぴっ…たまこ…えぁいね…
コオッ…
ぴよちゃんは、ルリだとわかったようだ。
でも、ルリにはぴよちゃんも、ぴよちゃんを連れて帰った記憶もないようだということがはっきりした。
ぴよちゃんが卵を生んだことに感動してるのではなく、鶏の卵の産卵に初めて立ち会ったような反応だったのだ。