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***堕散る(おちる)***
第35章 step35 二十九段目 0ポイント
チュッ…
「っあ…だめ…人に…見、ら、れ、る。」
車に乗ったとはいえ、屋外の駐車場ですぐ側を人が通っている。
「シィー…」
ハルトはワタシの唇に人差し指を立てる。
「ルリ?もうこれ以上勝手に喋るな…」
………っ…
「あ、そうじゃなくて、『シンデレラ』とか『見られる』より先に、喋れるなら呼びたい名前があるだろう?
さて、『ハルト』と『ルリ』どっちを先に言ってみたいか?
どっちも言えるはずだろ?」
「ん……決まって…ます。」
「じゃあ、俺にだけ聞こえるように言ってみて?」
ハルトは内緒話を聞くみたいに、耳に手を当てて、ワタシの口元に近づけてきた。
ずっと、ずっと呼びたかった名前…
ワタシは自分の口に手の筒を当てて、その人の耳につく手を包むように重ねた。
「ハ…ル…ト…」
「もう一回。」
「ハ、ル、ト…」
「もっと聞かせて?」
「ハルト?」
返事もなくワタシの筒状の手を外して掴み、唇を唇で塞がれた。
ん…
チュッ…クチュッ…ん…ルリ…ご褒美…
っはぁ…ハルト…苦しい…です。
ハルトが唇を離して笑う。
「本当に、何回言えば、鼻で息するの覚えんだよ。
さて帰るよ?」