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***堕散る(おちる)***
第35章 step35 二十九段目 0ポイント
「それを言うなら、ルリは何を話してたんだ?
だいぶ長かったぞ?」
「あの…あの…シンデェァと…人魚姫…どっちが、しあわせかって…」
「で、どっちなんだ?」
「どっちも…しあわせ…」
「何で?てか、シンデェァって何だ?」
「はうと…知ぁなぃの?」
「知らない。シンデェァって何?人?」
ワタシはきちんと発音しなきゃ、ハルトの知らない言葉は通じないんだとわかった。
今まで、毎日の生活でワタシの言葉がハルトに通じないことはなかった。
ハルトが聞き直して代わりに発音してくれて、『そう』と返事して付け足せば用が済んだし、
ハルトに全て任せたままで、自分から何かしよう、話そうと思わなかった。
今のままでもハルトは一緒に居てくれる。むしろ今のままのほうが一緒に居てくれると甘えていた。
ハルトの発音を聞いて、自分は、ら行が発音出来てないこともわかっていたけど、
それでもハルトには通じているからそれでいいと思っていたんだ。
「人です。シ・ン・デ・ッレ・ラは、お姫様…です。」
「ん…シンデレラっつうのか…何かくたばりそうな姫様だな。ルリ…きちんと言えたね。
ご褒美のキス。」