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***堕散る(おちる)***
第36章 step36 三十段目 地上階1F
結局マンションに到着してもルリは熟睡したままで、抱き上げて部屋に戻った。
このまま寝かせて、朝になったら、また、喋れなくなっていたら…
そんな不安も感じたが、無理に起こすのも可哀想で寝かせてやった。
玄関でピンクのワンピースを脱がせてクリーニングシューターに放り投げたら、どんな反応をするのか、
前回と同じやり取りをするのか、
見てみたかったが、それも我慢した。
後ろのファスナーだけ開けて服を着たまま寝かせた。
シンデレラが何なのか、エミとの話はどんなだったのか…
さらには、喋れるようになったお祝いに乾杯でもしようと思ったのも、全部お預けだった。
しかし、エミの見立ては確かだった。
そして、シンデレラがどう関わっているのかわからないままだし、
他にエミが何を言って、何が引き金なのかも不明だが、
ルリがら行を発音した。
こんな速効性があるのなら、もっとエミと会わせた方がいいのではと思ったが、
本人が言うように、これ以上出来ることがないというほどのことをしてくれたのだろう。
エミに電話しようと思ったが、店が忙しい時間だろうと遠慮した。