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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
ルリが寂しそうな顔をする。それは、それが自分だとわからないから、そして俺に女がいたからショックを受けている?
俺は喜べばいいのか、悲しめばいいのか、わからなかった。
「でも今はルリと一緒にいるでしょう?
今はルリが一番、それじゃあだめ?」
「そ、そんな…そんな勿体ないです。そばに置いてくれるだけで十分です。」
「そっか、ならいいじゃん。」
きっと複雑な心境だろうルリの肩を引いて近づけた。
沢山の食材を買い込むのに時間がかかってしまったが、どうしても探したい食材があった。
「無いなぁ…やっぱり無いか…」
「ハルト、何を探してるんですか?」
「生の小魚…」
「シラスですか?あっちに鮮魚コーナーあるから行ってみます?」
「ああ…」
パック詰めの魚のコーナーの他にルリが言うように鮮魚コーナーがあった。
「生の小魚ってある?」
「生シラスならありますよ、今日は特別ね。」
店の親父が奥に行って戻ってきた。
「透明なだけで生きてないね。」
「お客さん、それはどこでも手に入らないよ。シラスなんて陸に揚げたら数時間でこうなっちまう。
どうすんだい?やめるのか?」
「いえ、お願いします。」