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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
ルリと手を繋ぎ、歩いて家に向かう。
やはり、ルリは緊張していた。
「ああ、やっぱり留守のようだね。入ってみる?」
「留守というより、住んでいないみたい。」
確かに全ての窓のシャッターが閉まっているし、生活していない感じだった。
「ルリ、家に電話してみて?」
「えっ?」
ルリが電話したが無言のままで携帯を持つ手が震え出す。
「ハルト……『現在使われていません』って…
お母さん、どうしちゃったんだろう。」
「もしかしたら…彼氏さんの所にいるのかもしれない。」
「彼氏?」
「ああ、まずは家に帰ろうか、そして、お母さんの仕事が終わった頃に携帯に電話してみよう。」
「は、はい。」
卒業したら籍を入れるような話はしていたが、もう、一緒に暮らしているのかもしれない。
「ルリ、彼氏さんのことは覚えている?」
「いいえ…」
「お母さんはね、職場の人とお付き合いしてて、ルリが俺と一緒に暮らすようになったら、結婚するって言ってたんだ。
だから、きっと彼氏さんの所にいるんだよ、大丈夫だよ。」
「ハルトはその人に会ったことがあるんですか?」
「ああ、ルリと一緒に四人で食事したことがあるんだよ。」