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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
「じゃあ、次のところに行くよ?」
事務所をあとにして、車まで戻る。
結構長く昼寝してしまい夕方になっていた。
「ハルト、ここ家の近くです。」
「ああ、ここの公園に寄ってからいくよ?」
「はい。」
ルリが緊張しているのがわかった。
母親との暮らしは覚えているが、記憶がない状態で会うのが怖いのだろう。
「この公園、近くだけどあまり遊びに来たことがなかったんです。」
あまり期待はしていなかったが、花見をした記憶もなさそうだ。
園内をゆっくり散歩する。
「ここ桜の木が沢山あるんですね。お花見の時期にきたら綺麗でしょうね。」
「ああ、桜は全部葉っぱになってしまったな。」
ルリを右京のところから連れ戻した頃が満開を過ぎて散り始めたぐらいだった。
犬の状態だった間に全て散ってしまい、今年は花見どころではなかった。
「ハルト…来年は一緒に花見をしましょうね。」
「ああ、そうだな。」
ルリのことを桜のようだと言っていたことも、覚えてないんだな。
そして、俺が花見にこだわっていたことも…
「家の方に行ってみようか…」
「はい、でも、母は仕事でいないと思いますよ。」