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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
「ルリと俺は、いつも一緒にいるんだよ。」
「うん…」
「お母さんの所に帰りたかった?」
「ううん…違うんですけど…育った場所が…なくなってしまった。」
ルリはほろほろと泣いていた。
俺はルリを抱き締める。
「ルリ…ずっと一緒にいる。そう話しただろう?」
ルリを抱えあげて寝室に連れていき、泣き疲れて眠るまで抱き締めて背中を撫でた。
いずれは男と一緒に住むかもしれないと予測していたが、まさかこんなに早くあの家から出てしまうとは思ってなかった。
ルリは家と一緒に捨てられたような気分なんだろう。
記憶の残っている実家にいけば、失った記憶が甦るかもしれないと考えてのことだったが、思わぬ結果になってしまった。
眠りについたルリをおいて、パソコンに向かう。
あと2週間でルリの誕生日だ。
家にいると時間をもて余す、少し長めの旅行を計画しようと情報を漁っていた。
家から離れてゆっくりした方がよいと思ったが、具体的な案がさっぱり浮かばなかった。