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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
では、蕎麦の用意の間に薬味の胡麻ととろろ芋を擦ってお待ちくださいませ。」
ハルトはもう胡麻ととろろ芋のすり鉢を食い入るように見ていた。
案内の女性が障子戸を閉めて出ていくと、胡麻のすり鉢を引き寄せて擂り粉木で擂り始めるハルト。
フンフン〜薬味の胡麻を〜
フンフン〜擂りおろして〜
フンフン〜わんこそばに〜
フンフン〜入れるために〜
どうやらフンフン〜の鼻歌は、調理のテーマソングのようだった。
ハルトがご機嫌で胡麻を擂りおろすと、香ばしい胡麻の香りが広がっていく。
ワタシも慌てて胡麻を擂る。
仕上げたハルトは、とろろ芋のすり鉢を引き寄せて、またフンフン〜と鼻歌を歌いながらとろろ芋をおろしていた。
「さあ、お蕎麦が茹で上がりましたよ。」
給仕の女性が二人、何段かに積まれたお椀のタワーを持って入ってきた。
「おおっ、凄い蕎麦タワーだな。」
「一段で16杯で通常の約一人前分のざるそばになります。」
「ほ〜、じゃあこれで三人前だ。」
「はい、沢山召し上がれ。」
勧められた通りに椀を持つと、ポイッと勢いよく蕎麦が放り込まれた。
一口量のそれを箸で摘まんで啜った。
「はい、どっこい、じゃんじゃん。」