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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「赤鬼は泣くんです。
自分の本当の友達は
青鬼だったのだと…
村人と暮らすのでなく、
早く青鬼のところに来るべきだったと…
赤鬼は悔やんで泣くんですが、鬼の足のこと…
青鬼の居場所はもうわからなかったということです。
はい、おしまい。」
ワタシは絵本を閉じる。
お気に入りの本は丁寧に扱っても角が丸まり手垢ですれている。
「ママぁ…続きを聞かせてぇ…」
「続き?」
「パパがこのお話には続きがあるって…いつも話してくれるよ。」
「うふふ…じゃあ、パパが話してくれる続きと違うかもしれないけどいい?」
「うん…」
「泣いた赤鬼は青鬼を探す旅に出ます。
何日前に赤鬼が居なくなったのか、どこにいったのかもわからないので、一生懸命走っていきます。
木の枝や石で手足に傷が出来ても、休みもせずに走ります。
一方、青鬼は、赤鬼との楽しい生活を思い出すのが辛くて、忘れようとするうちに赤鬼のこと自体を忘れてしまいます。」
「え〜、赤鬼可哀想〜」
「赤鬼は身体中に傷や怪我をしながら走り、ようやく青鬼を見つけました。」
「でも…赤鬼のこと…わからないんでしょう?」