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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「ルリ、誕生日には、少し早いけど…」
俺は繋がったまま、脱いだ服のポケットから、それを出した。
「手を出して?」
ルリが不思議そうに手を差し出してくる。
俺は、その薬指にそれを填める。
ルリが震えながら手を近づけて見る。
「ハルト…これ…」
「そう、俺とルリ…
ずっとこうして側に居たい。
お揃いで、俺のも作ったんだ。
填めてくれる?」
自分用のそれをルリの手のひらに握らせる。
「…ハルト、ワタシ、お椀の柄を、薔薇にしたんです。
黒い薔薇を赤くするって…
エミさんが、馬鹿な女って言ってたけど、あれ、ワタシのことだったんですね。
ハルトは、もう黒い薔薇なんかじゃないです。真っ赤な薔薇が、ここに咲いています。」
ルリが俺の胸を指で触れる。
「俺も、ルリのお椀は桜の、夜桜が舞う柄にした。」
「ハルト…愛しています。
ずっと…ずっと…」
ルリは、泣き笑いの混ざったぐちゃぐちゃの表情で、俺の薬指に、桜と薔薇の並んだ指輪を震えながら着けてくれた。
「愛してる。絶対に離さない。」
俺は、もう一度、俺に堕散てきたルリを抱き締めた。