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***堕散る(おちる)***
第10章 step10四段目…視覚(3)
俺は扉を僅かに開けて外の様子を窺い、
ルリを手招きする。

ルリが個室から出た時、扉に残されたガキどもの跡を指差す。

「ルリの声だけでイケたって言ってたよ。」

まだ外を窺い、トイレを後にし、ベンチに腰掛ける。
ルリは泣きそうだった。

「ルリ、視線ってね、意外にパワーあるんだよ…
見られてる視線があたるって本当。目で愛撫されたり、興奮したり、当たり前のこと。
それを刺激と受け止める繊細な身体はイイカラダ
恥ずかしがらずに認めたらいいよ…」

実際、トイレに入った時点でワタシは濡れていた。
変なことをハルトは誉める。
間違いだと思うけど、ハルトが良いと言うものはいいのだ。
ハルトが喜ぶならそれでいい。

ハルトがワタシの背中を撫でていた。

「ルリ落ち着いた?
もう帰れる?」

「もう1周散歩したい。」

ハルトとデートって、出来るのかな?
言い出せないアタシは公園デートを満喫したかった。

「いいよ。」

ハルトが先に立ち、ワタシに手を差し伸べる。
ハルトの手をとりワタシは立ちあがる。

手を繋いで歩く。恋人だったら、当たり前のことがなかなか出来ない。
恋人ではないかもしれないけど…
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