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***堕散る(おちる)***
第3章 step3初めの一歩
ガンッ…
押し出されたワタシの後ろで鉄扉が閉まる。
もう夕方になっていた。
夏の日射しの暑さか、先ほどまでの余韻か気だるい。
ワタシは駅まで歩く。
ふと、リップを握っているのに気づき、カバンにしまう。
同時にハルトさんの口づけを思いだし、口の端に触れる。
なんだか色んなことがいっぱいあって、ボーっとしたまま…
気づけば家についていた。
「ただいま。」
誰も居ないのに挨拶する。
母と二人暮らし、大抵ワタシが先に帰り母を待つのだ。
自室に戻りベッドに身を投げ出す。
携帯を取り出す。
あれからメールは来ていない。
彼氏と明日も会うはずだった。
今日会えなかったから予定がたっていない。
ワタシは彼氏にメールを入れた。
会うの?会わないの?
どうでもよい気もしたが…
ウトウトしそうになり、ハルトさんの言葉を思いだし、慌ててお風呂にいく。
泡に包まれるのは心地良いけど、体に触れる度にハルトさんのことを思い出す。
泡と一緒に流れてしまう気がした。
自分で触れたことのない場所に指を入れる。
与えられた快感が鮮明に戻ってきた。