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***堕散る(おちる)***
第20章 20章 step20十四段目…秋
「ルリ?泣いてるの?」

「な、泣いてません。
家まで帰れるか不安になっただけです。」

俯いて叩き続けるルリを剥がして覗くと、涙の跡が見える。

「寂しい思いさせてごめん。」

黙ってまだ叩いてくる。
ギュッと抱き締めておでこにキスをする。

「帰ろ、ルリ…」

コクリと頷くのでそのまま肩に手を回して連れて帰った。

「方向音痴だから、帰れなくなったらって思ったんです。」

肘で脇腹をつつかれる。

「だってここからも見えるよ?ウチ」

「見えてても道がわからなきゃ帰れません。」

ププッ…

また泣きそうなので頭を撫でて連れて帰る。
拗ねたルリを見るのは初めてだった。

小さな声でブツブツ呟くルリを撫でながら、家に帰った。

まだ拗ねているのか、ルリは玄関で自分から脱ぎ出し、クリーニングシューターに服を放り投げる。

「ルリ…アイス食べる?」

「食べます。」

「珈琲淹れてくれる?」

「はい」

コポッ…コポッ…

好きな音が聞こえる。

ルリも落ち着いてきたのか、俺の肩に頭を乗せてきた。

「ごめんね。驚かせて」

「ハルト…ずっと一緒にいて、寂しい思いさせないで」

「わかった。」

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