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***堕散る(おちる)***
第3章 step3初めの一歩
ワタシは鉄扉から入り、さらに事務室の扉の中に引き摺り込まれ、パイプ椅子に投げ出された。
「自分が何したのか、わかってるよねぇ。」
ワタシは項垂れる。
「名前は?」
ワタシは答えない。
バァーン…
男が長机を叩く。
ワタシはビクッと反応してしまう。
「盗ったもの机に出して?」
ポケットからピンクのリップを取り出し机に置く。
「全部出して。」
「これだけです。」
ワタシは答えながら初めて男の顔をみた。
年は30手前くらいだろうか、疑いの目でワタシを見る男の顔は整っていた。
「そう、まぁ確認するからいいよ。」
そう言いながら彼は立ち上がり、ワタシの後ろに来て両腕を引っ張る。
ガチャリ…
金属音がする。
ワタシは腕を動かす。
「あっ、手錠だよ。泥棒だからね。さて、持ち物検査するよ。質問にも答えてね。」
ワタシはキッと男を睨む。
「名前は?」
ワタシは、やはり答えなかった。
男はカバンを勝手に開けて生徒手帳を取り出した。
「○○女子高、2年か…」
男は呟きながら書類に書き込み始めた。