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第3章 step３初めの一歩

｢ルリちゃんかぁ、可愛い名前だね。｣

男の話し方がカンに障る。


そして、ワタシはどうなるんだろう。

｢警察いく？学校に連絡する？親に来てもらおうか、あっ、お母さん働いてるんだね。休んで来てもらう？｣


｢ごめんなさい、でも、や、やめてください。｣

ワタシは小さな声でいった。


｢は？ゴメンで済めば警察いらないっていうじゃん。｣

男は乾いた笑いをした。

｢何で万引きしたの？｣


ワタシはきちんと答えれば、どうにか警察や学校や母に知られずに済むのではないかと考え、

｢嫌なことがあって、つい｣

と正直に答えた。



｢ルリちゃんて頭悪いの？嫌なことがあったら、つい万引きしちゃうんだ。｣


ホントにムカつく、だけどワタシは、

｢万引きなんてしたの初めてです。｣

と本当のことを答えた。

男は、ワタシの返事を聞かずに、ワタシのカバンの中身を机に並べる。

ポーチのリップを出して、財布の中身までみる。


｢リップもお金もあるじゃん。盗むことないのに。｣

ああ、なんて嫌な男なんだろう。

｢ごめんなさい。｣

ワタシはひたすら謝る。


男がまた立ち上がり近づく。