この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
買い物から帰って昼の支度を始める。
茶碗蒸しが卵で出来ていると知って、帰ってくるなりボウルを取り出し、卵をいくつ割るか訊かれる。
ハルトが卵以外で興味を示すものはまだ見つからない。
出汁をつくり具材の用意をすると興味深々と覗いていた。
明日は1日出かけるらしい。ハルトはどこにいくのか教えてくれなかった。
三泊分の献立を考えていたので、外食する分、優先順位を決めてもらった。
「ねえねえ、卵の出番はいつ?」
「出汁を冷ましたらです。」
氷水を入れたボウルにボウルを浮かべ出汁を入れる。
「せっかく温めたのに、冷やすんだ。」
ボウルを押さえながら箸でゆっくり回すハルトが言う。
触れるくらい冷めたら、というのが待てない様子だ。
焼き魚やお浸しに取り掛かったけど、それには興味はないようだ。
「だってお浸しって野菜は前に食べたよ。」
「お浸しって野菜の名前じゃないですよ。」
「そうなの?じゃあ何の名前?」
「調理法の名前ですよ。
今日は小松菜と油揚げとシラスのお浸しにします。」
「ん〜、なんでお浸しって言うんだ?」
「汁気に浸されているからじゃないでしょうか。」