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***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
「いただきます。」

ワインを開け、シャンパン風のノンアルを注いでもらう。

「かんぱーい」

「ハッピーバースデー天皇」

へっ?

「天皇誕生日だろ?」

「ハルトが天皇の誕生日お祝いするとは思わなくて…」

「だってクリスマスはキリストの誕生日だろ?
他所の人も祝うなら、自分のところも、
間に挟まれてる俺としてはね。」

「ふふっ
そうですね。
ハッピーバースデー」

グラスをぶつける。

爽快な音が広がった。


ハルトはシチューの肉をスープと一緒に掬う。

「楽しみだな、俺の邪魔をしたコイツが、どれだけ柔らかくなっているか…」


キッと睨んでいるのを見ると、柔らかくなかったらどうしよう、ドキドキしてくる。

ハルトが口に入れるまでじっと待っていた。


「美味いよ?柔らかいとろとろだよ。ルリも食べてみろよ。」

進められて口に運ぶ。
酸味とコクのあるスープの味が口に広がり、肉は溶けるように柔らかかった。


「美味しくできましたね。」

「うん店が出せるよ。」

「ハルトが出してくださいよ。
シチューと卵料理の店。」

「そのうちね。」


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