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***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
「え……嬉しい。」

ハルトが先のことを考えてくれているのが嬉しかった。
そして、一緒に母に話してくれるというのだ。

こんなに嬉しいことはない。

「ねぇルリ、なんで泣いてるの?」

「ふぇ、嬉しくて、涙が出ちゃいました。」

「嬉しくても涙って出るんだね。」

「そ、そうですよ…」

「ご飯食べてケーキ食べるんでしょ?」

「は、はい…」

ハルトがすき焼きを取ってくれる。

ワタシは甘いタレの味と一緒に幸せを噛みしめていた。

「ご馳走さま。」

テーブルを片付けてケーキの用意をする。

ハルトは珈琲とお茶の準備をしていた。

カバーをかけたケーキを置き、用意していた蝋燭を出す。

「ハルトが蝋燭立ててくださいね。」

「この大きいのか10歳分で小さいのが1歳分てこと?」

「そうです。」

カバーを取ると、リースのようなケーキが現れる。
真ん中に飾られたフルーツの彩りも素敵だった。

「ハルトのお誕生日ケーキなのに、ほとんどハルトに作らせちゃいましたね。」

「楽しかったしいいよ。歌は歌うの?」

ハルトが大きい蝋燭を2本並べ、小さいのを等間隔に差した。

「歌いますか?」

「早く食べたいからいっか。」
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