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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第3章 真夜中のプリンセス・ベル
 トーマスはロザリナの髪に唇を押しつけているため、声が少しくぐもっている。いつものトーマスの声ではないような気がして、ロザリナは少し怖くなった。


「トーマス、変な冗談は止めて」

「そうだね」

 トーマスはあっさりと離れた。ロザリナは恐る恐る彼を窺う。いつもの穏やかな彼そのもので、特に変わりはない。先刻のあの地の底から這うような声は何だったのだろう。


 まるで悪い夢を見ているようだ。誰かに強い視線で見つめられているような気がしてふと振り向けば、カトリーヌの肖像がずっとこちらを見ている。
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