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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第3章 真夜中のプリンセス・ベル
ふいに胸苦しいほどの懐かしい記憶が甦る。そう、彼はこんな風にあの日も薔薇の花を私の髪に飾ってくれた。あれは二度目に出逢った日だ。ロザリナはひと月もの間、彼にずっと逢いたい、もう逢えないのかと悶々としていた。
「これを忘れていたんじゃないのかい」
トーマスが聞いたこともないような甘い声音で言う。足許を見ると、ピンヒールの華奢な靴が揃えて置いてあった。ドレスと合わせたレモンイエローだ。