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キスをして
第6章 間宮の逆襲
「別に痛かった訳じゃないんだけどね?枕は叩くものじゃないからさ」

「だって…」

スマホを取ろうとしたら自分の服が着替えられている事に気付いて思わず枕で顔面を叩いてしまった。

前科があるじゃない?
私はキスマークを忘れた訳じゃないんだよ。

「朝食作ってる間にシャワー浴びてきたら?」

「そうで‥だねっ」

3年も続いた話し方を変えると話しづらい。

「家でシャワー浴びてくる。化粧も落とす位したいし」

きょとんと私を見るその顔は疑ってそう。

「朝食作りかけてる人を放っておいたりしないから、ちゃんと戻ってくる」

どうせすぐに戻るからと作業場に置かれている小塚さんのサンダルを借りて店舗の方から出て家に帰る。

シャワーを浴びてメイクも落として手早くファンデと眉だけして小塚さんの元へ戻るとダイニングテーブルに料理を並べているところだった。

「タイミング良いね。食べようか」

嬉しそうに笑わなくたってちゃんと戻ってくるのに。

「間宮さん今日も作業場に居てくれる?」

「仕事の邪魔になっちゃわない?」

「ならないよ。また畳で寝てていいから」

食事の片付けを申し出て小塚さんに先に開店しておいて貰ってからコーヒーを2杯淹れて階下に降りていく。
階下に降りるといつもと同じようにルーペを付けて時計を弄っている。

「コーヒー飲む?」

作業台の横に座って覗き込むようにして声を掛けると険しい顔のまま机の端に置くように言われ微妙に傷付く。
まぁ細かい作業してるから仕方ないのかもしれないけど。
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