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キスをして
第6章 間宮の逆襲
少し離れた所から小塚さんの作業を眺めつつ私の背後にあるガラス窓から店内を覗く。
にしても本当にあんまりお客さんって来ないんだ。開店して1時間経っても誰も来ない。

「誰も来ないって思ってる」

「別に思ってないよ」

思ってたけど‥そんな事言えないでしょ。
椅子から立ち上がって座敷に上がってくると私の凭れていたガラス窓に頬杖を付いて覗き込む。

「俺は思ってるよ誰も来ないなって」

「良いんですか?それで」

「だから元に戻ってるよ」

「やっぱり無理!話し方は変えないっ」

「自分で言ったのに?」

「小塚さんだって車の時はヤる気だったのにベッドに行ったらヤらないって言った!!」

「……そんなに俺に抱かれたかったの?」
急に艶っぽい流し目を向けられるとたじろいでしまう。

「だからあんな事したんだ?」

いかにも何か企んでいる笑顔から逃げるべきかもしれないが荷物を2階に置いたままだから取りに行ったら逃げ道を更に無くしそう。
もしかして昨日の事怒ってる!?

にじり寄ってくる小塚さんから距離を取ろうと後ろに下がればすぐに壁に背中が当たり部屋の隅に詰められる。

「教えて?」

息遣いが分かるくらいに近付いた小塚さんは私の頬に触れ髪を耳掛けて頬に口づけてくる。
自分でしないなんて言っといて期待させるような仕草なんてしないでよ。
そんな事しなかったら忘れてしまえるかもしれないのに忘れないでと言わんばかりにいつも顔に熱を残す。
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