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キスをして
第7章 小塚の憂い
「り~っちゃん!」

事務所の扉を叩くように開いて入ってくる日下さんは気持ちが悪いくらいの笑みで近付いてくる。

「おみやげだぞ~」

「ど、どうも」

コンビニ袋には店内にあった全種類のプリンが入っている。
何のつもりだと訊こうとすればウインクを飛ばされ気持ち悪さは倍増するだけだ。

「間宮…ご愁傷様」

「は!?」

何!?何々!?
2人で買い物行っただけなんじゃないの?そのテンションの差は何!?

疲れ果てたような橘さんは挙動不審だし、浮かれたような日下さんは鼻歌を歌い始めている。

怪しい…。
私は静かに椅子から降り机の間を潜りながら進んでいく。
日下さんに見つからないように。

「あの~橘さん」

「ぅわっ!!何だよ屈みながら来るなよ」

「さっきから二人とも変ですよ?」

「間宮ちょっと出掛けてきたら?」

「どうして――」

「あれ?りっちゃんどこ行きました?」

日下さんの声が聞こえて強引に橘さんの机の下に潜り込む。
二人の様子からして元凶は日下さん。ならば隠れるに限る!

「っあぁ‥さっき出て行ったからコンビニじゃないか?」

「行っちゃったんですか!?なんで止めないんですか」

慌ただしく扉が閉まる音がして静かになった。

「何があったんですか?」

「それがなぁ。日下が電話しちゃったんだよ小塚さんに」

「うそっっどうしよう!」

「小塚さんと何かあったのか?」

「な‥何もないんですけど」

「会いづらい事があったんだな?理由なく避けられたら小塚さんも困るだろ拗れる前にどうにかしろよ?」

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