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キスをして
第7章 小塚の憂い
「ごめんね~。私てっきり誠司が遊んでるものだと思って酷い言い方しちゃったわよね」

「大丈夫です」

「誠司が彼女作るなんて思わなかったからさ~はははっ」

本当は彼女じゃないんです。

「誠司自分勝手なところあるから付き合うの大変でしょ」

全くです。口から出任せにしても彼女はないですよね~。
何考えてるんでしょうね。あなたの弟は。

「律香ちゃんはいつから付き合ってるの?」

「えと、「まだ1ヶ月位だよ」

焼きたてのクッキーを持って現れた小塚さんは少し機嫌が悪そうだ。

「彼女の前でイライラしない!」

「誰のせいだよ。律、お茶入れるの手伝ってくれる?」

「うん」

キッチンで小塚さんと横に並びカップをカウンターに並べる。

「ごめん、姉さんの相手大丈夫?」

「それは別に‥でも彼女なんて」

「言いたかったから。それにチャンスかなって」

「何がですか」

「『律』って呼びたかった」

急に囁くような甘い声で呼ばれるとさっきまでの熱が再燃しそうになる。

「カウンター下のコーヒーの袋出して?」

カウンターの下を覗き込むと一番奥に袋が見える。頭を潜り込むように腕を入れると小塚さんまでしゃがみ込み同じように手を伸ばす。

「近いです」

「姉さんが帰るまでここに居て」

「私居ると邪魔になりますから」

「邪魔なのは向こう。帰ったらすぐに抱きたい」
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