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キスをして
第7章 小塚の憂い
「ごちそうさまでした。本当に良かったの?」

「今度は奢るって言ったじゃないですか」

「今日も泊まっていく?」

「帰ります」

アパートの階段を昇ろうとすると小塚さん呼び止められた。

「ポストに荷物が入ってるよ」

荷物?さっき出掛けるときはなかったような。こんな9時になろうかという時間に配達なんてある訳ないし気付かなかっただけ?

ポストに入っていたのは綺麗にラッピングされた長方形の箱だった。
でも宛名も差出人も何も書いてない。

「どうしたの?」

「!何でもないです」

「貸して」

私から箱を取り上げて包装を確認している。

「開けて良い?」

「いや、知り合いの誰かが入れてくれたのかも知れないし」

「心当たりは?」

「…ないけど」

「じゃあ開ける」

「ちょっ‥!」

リボンを手早く解いて包装を剥がすと何も書いていない白い箱が包まれている。

ゆっくりと箱を開けると財布が入っている。

「財布?やっぱり誰かからプレゼントだったかな―、間宮さん?」

……………。
この財布には見覚えがある。いつだったかエレベーターで見たものだ。
でもどうして?話した事なんて2回しかないし名前すら教えたことも聞いたこともない。

「顔色悪いよ?間宮さん?」

声が出ない。
だって名前も教えてないし、事務所も教えてないのにどうやって場所が分かったの?
そんなの理由は一つしかない。
つけられた?
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