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キスをして
第8章 二人の関係
「あ~アパートのポストにね‥財布が入ってて、下の階の会社の男の人に前に可愛いなぁって言ったので‥名前知らないし、住所とか教えてないんだけど‥ポストに入ってて、後付けられたかもってみんなして心配しちゃって‥」

「俺そんな事聞いてねぇぞ」

「あんまりそんな事騒いで大袈裟にしたくなくて、橘さんもそう言ってくれて‥」

「騒ぎたくないのにアイツには話したのか」

「丁度一緒にいて‥それで送り迎え買って出てくれただけで」

「丁度ね‥。何で隠すんだか」

だって怒るじゃない。昔から私のことにはすぐ気付く。だからこそ自分からは余計なことは言いたくない。気付かなければ気付かないでいい。

視界の端で重いため息が聞こえる。

「なによ」

「なんもねぇよ」

「その下の男は?」

「何も。入れたの見たわけでもないし多分で行動して会社に報告は出来ないって」

「それもそうだな‥頼れる奴には頼っとけよ。お前昔から何も変わんねぇよな」

「それ誉めてない」

「バレた?」

隠してもバレバレか。
黒沢さんと別れて作業を終えると2時を過ぎた所だった。
事務所には皆残っていて黒沢さんもまだ仕事をしている。
小塚さんには30分前に連絡したばかりだからまだ時間が掛かるけど忙しいときに下まで付いて来てって言いづらいんだよね。

「橘さん私帰ります」

「あぁ~ちょっと待ってろ。すぐ終わるから」

「忙しそうだし一人でも」

「橘さん俺帰るんで一緒に降りますよ」
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