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キスをして
第8章 二人の関係
事務所から出て非常階段に連れて行かれる。日中はエレベーターが動いているから非常階段を通る人はいない。
橘さんに非常階段に連れてこられた事なんていつぶりだろうか。入社一年目に怒鳴りつけられた記憶が頭を過ぎる。

「私何かしでかしましたか?」

「いやむしろ何かしたのか?朝から暗いオーラが漂ってるぞ」

「う~たちばなさ~んっ」

「何だよ!!泣くなよ!?」

半ば強引に話し始めると仕方なしと言わんばかりに気怠そうに話を聞いてくれている。
橘さん巻き込むの癖になってるな私。

「なんで28にもなって……拗らせすぎだろ」

好きで拗らせてきたわけではないのだけど酷い言われようだよね。
非常階段に腰掛けて煙草を吸い始めた橘さんの肩は震えている。

「笑うくらいなら助けて下さい」

考え倦ねている様子で首を下げて首に手を乗せたまま固まっている。

「黒沢さんは取り敢えず痛み分け的な感じで放って置いてもまずは大丈夫だろ。小塚さんは間宮が謝って告ってしまえば向こうが丸く納めてくれそうな気もするが…」

こくはく?
告白?
無理な予感しかしない。そんな難易度高そうなことが自分に出来るのかと不安になってしまう。

「間宮‥思ったことをそのまま言わなきゃ拗れない」

自分の冷静さを保つ自信がないんですがどうすればいいですか。

「子供じゃないんだから助けを求めるなよ」

「愛が足りない」

「間宮に愛はやらん」
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