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キスをして
第8章 二人の関係
どうして何でも気付くかな。隠すだけ無駄じゃない。

『アイツの家に居るんだろ?近所なんだろ近くまで迎えに行くよ。21時頃には行けるから飯食っとけよ』

「分かった」

『あと!お前ちゃんと俺と会うって言っとけよ。余計拗れるから』

誰のせいで拗れたと…。
しかもちょっと拗れたことすら忘れかけてたのに思い出させないでよ。

一方的に切られた電話に溜め息を吐く。ウダウダ考え出したら言い辛くなるのがオチだ。
今の内に勢いづけて言ってしまった方が良いかも知れない。

2階のリビングを覗くと今から話すのが憚れる程に機嫌良さそうに料理をする小塚さんに申し訳なくなってくる。

「間宮さん‥そんな所で覗いてないで入ってきたら?」

「あっ…はい」

「夕飯もう少し掛かるからまだ仕事してて大丈夫だよ?」

「丁度キリがついたので‥あ~あの!夜ちょっと出掛けてきたいんですけど」

「いいよ?暗いし送るよ」

「いえ、迎えに来てくれるみたいで…」

また空気が重くなる。私が何を言いたいのか気付いたんだとすぐに分かる。

「……誰と?」

私の顔を見ずに調理を再開しながら問いかけてくる。

「黒沢さん」

「そっか、夕飯は食べて行くのかな?」

「食べて行きます。21時に迎えに来ます……小塚さん‥ここに帰ってきて良いですか?」

「帰ってくるの?」

「私はそう思ってるんですけど駄目ですか?」

「駄目じゃないよ」

安心したように笑う小塚さんに私まで笑ってしまった。
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